よく化粧品に使われているのを目にする「ローズオットー」。
「ローズオットー」とは、水蒸気蒸留法で採ったローズの精油のことです。
今回はローズオットーと水蒸気蒸留法について、niniコスメのオーナーであり、原料メーカーとして化粧品会社にダマスクローズオットーを卸しているランディ・マッスルさんにお話を伺ってきました。
取材前にローズの精油を摂る方法についてのお勉強

まず1つは揮発性有機溶剤抽出法。
ローズを有機溶剤に入れて漬け込むと、ローズオイル成分と天然の植物ワックスが一緒に固まったもの(ローズ・コンクリート)ができるので、エタノールを使って分離させる。
最後にローズオイル成分からエタノールを取り除くとローズオイルの精油が抽出される。
この精油はローズ・アブソリュートと呼ばれる。

また「精油」とは呼ばないという意見もあるね。


この方法で抽出したローズオイルはスキンケア用品によく使われているよ。
発生した水蒸気を冷やすと液体化し、ローズの精油とローズウォーターが抽出できる。(上部にローズの精油が浮かび、下部にローズウォーターがたまるイメージ)。
この方法で抽出したローズの精油は、ローズオットーと呼ばれる。
昔ながらの方法だが、手間暇がかかる。

パターン1は【ローズと水を一緒に入れて沸騰させる方法】。

水とバラは網やカゴで区切られているよ。

今回は分かりやすいようシンプルな図にしたけど、もっとハイテクな装置の場合もあるよ。

例えばローズオイルの原料メーカーさんとか。
そうだ!彼はどうじゃろう。
あの肉体派の…。


niniがある自由が丘(東京)に出発だー!
というわけで、原料メーカーでもあるniniコスメのオーナー、マッスルさんにインタビューしてきました。

niniコスメとマッスルさんについて
マッスルさんにお会いする前に、niniコスメについて簡単におさらいです。
素材は主にダマスクローズやザクロ、ピスタチオ、ジャスミンなど。化学成分を一切入れず、家族全員で安心して使える商品を作っている。
マッスルさんは若い頃に旅行で日本に訪れてすっかり日本を気に入り、そのまま日本に住んでいるという、日本をとても愛してくださっている方です。

マッスルさんへのインタビュー




メールで質問も何度かくれたよね。もちろん覚えてるよ。

今日は水蒸気蒸留法について、お聞きしたいんですがよろしいですか。

なんでも聞いてね。
水蒸気蒸留法の一般的な方法は3パターンのうちどれ?


水蒸気蒸留法は、パターン1【ローズと水を一緒に入れて沸騰させる方法】、パターン2【水を別の装置で沸騰させ、生じた水蒸気をローズの入った窯に送り込む方法】、パターン3【水を別の装置で沸騰させ、生じた水蒸気をローズの入った窯に送り込む方法】の順番でできたんだよ。
パターン3は40、50年前にできた最近の方法。
水蒸気蒸留法は、イランの漢方の王様イブン・シーナさんが開発したもの。
イーブン・シーナさんは、「バラの本当の香りとオイル成分の抽出はこの方法でないと難しい。」と言ってたんだ。
パターン1はイランでできた方法で、技術的に進んで、パターン2と、パターン3ができあがったんだよ。
ちなみにniniはパターン1【ローズと水を一緒に入れて沸騰させる方法】をベースに、更にダマスクローズの香りを濃厚にするため、水の代わりにダマスクローズ水でダマスクローズを沸騰させてローズオットーを抽出しているよ。
ダブル蒸留だね。


手間とコストが半端ないからで、現在ではあまりやっているところがないって書かれていたわ。

ははははは~。でもやるとやらないとでは、香りの濃厚さが全然違うからね。
揮発性有機溶剤抽出法の方が香りが強く、バラ本来の香りがするって本当?

「水蒸気蒸留法」で抽出すると、バラの香りが一部熱と水によって損なわれてしまうので、「揮発性有機溶剤抽出法」で抽出した方が香りが強くバラ本来の香りがすると言われることがあるようですが、その点についてどう思われますか。

アブソリュート(揮発性有機溶剤抽出法で抽出したローズオイル)だと他のオイル(溶剤)も入ってしまうからね。
アブソリュート派の人はそう言うかも知れないけど、ローズオットー(水蒸気蒸留法で抽出したローズオイル)の上はないです。
アブソリュートの方が早く安くたくさん採れるから楽なんだけどね。
ちなみにローズオットーはアブソリュートのだいたい5倍の価格がするよ。
niniのローズオットーはもっと高いけどね。


niniのローズ・オットーは最上位ね。
ここまでハイグレイードのオイルはないです。
ローズ・オットーの中でも順位があって、一番上は、パターン1【ローズと水を一緒に入れて沸騰させる方法】で採ったもの、次にパターン2【水を別の装置で沸騰させ、生じた水蒸気をローズの入った窯に送り込む方法】で採ったもの、次にパターン3【水を別の装置で沸騰させ、生じた水蒸気をローズの入った窯に送り込む方法】で採ったもの。バラが採れた場所も重要なんだけどね。
イランのように寒暖差が激しいところで育ったバラはたくましく、濃厚な香りを放つようになるよ。
山になればなるほど寒暖差が激しくなっていいね。


ブルガリアのローズにも負けないイランのローズの魅力とは?


日本でバラのブームが来た時にバラをビジネスとして栽培しているブルガリアのローズオットーが使われるようになった。
そのままバラといえばブルガリアというイメージになったんだ。
オイルを売っているプロは、イラン産のバラの素晴らしさをみんな知ってるよ。

イラン人であるマッスルさんだから手に入れられるオイルなんだね。

そこから種がシルクロードを渡ってトルコに行ってチュニジアに行って、ブルガリアに渡ったんだ。
ブルガリアはビジネスとしてバラを栽培しているからマーケットにたくさん回っているんだよ。

これが品質にこだわり抜いたローズオットーだ!



おおおー。黄色いくてきれいな色をしていますね。
少しだけ香りを嗅がせてください。
(おそるおそる。)
うわぁ~!めちゃくちゃ濃厚で良い香りがします!


このローズオットーもさっきまでクーラーのきいた部屋に置いていたから、固まっていたんだ。

(おまけ)マッスルさんおすすめのローズウォーター



これはなかなか手に入らないね。
日本でも買えないね。
このまま顔に付けると化粧水代わりになるよ。
うちのお母さんはそのまま付けてる。

niniからもローズウォータが販売されるといいな。
まとめ


マッスルさん、お忙しい中ありがとうございました!